雨上がりの5月9日。毎年春に実施しているイベント「春の男三瓶山に登ろう」の下見として、男三瓶山に登ってきました。
登山道で見られる動植物や岩石の状況を確認しながらの、のんびり登山です。
当日は風もあって、やや肌寒いかなと思ったのですが、いざ登り始めると寒くもなく暑くもなく、まさに登山日和。
三瓶自然館から名号登山口へ続くヘルシートレイリングコース脇の水路には、ヒキガエルのオタマジャクシたちがたくさん。
ヒキガエルは大型のカエル(ぜひ三瓶自然館サヒメルで確認してみてください)ですが、オタマジャクシや上陸したばかりの幼体はむしろ小さめ(1 cmほど)なのが面白いです。
登山を始めて間もなくの地点で見かけた、タニギキョウのつぼみ。まもなく見ごろを迎えそうです。
動物園みたいな臭いがするなぁ、と思っていると、樹皮がはがれた木がありました。泥浴びをしたイノシシが、木に身体をこすりつけて泥を落とした跡です。
朽ちかけてキノコだらけになった木には、しばしば穴が空けられていました。コゲラやアカゲラといったキツツキの仲間が、エサを探した跡でしょうか。
個人的におススメの楽しみ方は黒雲母探し。登山道に転がる石の中にキラッと輝く六角形の結晶を見つけると、少し嬉しくなるのは私だけではないはす。
登山道で時々見かけたクラゲっぽいキノコ。クチベニタケのようです。
ギフチョウの食草の一つとして知られるカンアオイの仲間、ミヤコアオイ。標高800 m付近あたりからよく見られるので、頑張って登りましょう。
予期せぬところで意外な生き物に出会うこともあります。山頂近くを歩いていたのはアカハライモリ。水場まではかなり距離がありますが、何をしていたのでしょうか。
山頂はさすがに風があって寒かったため避難小屋で食事。自然観察のことで頭がいっぱいだったおかげで、
山頂での写真撮影を忘れてしまいました。
大きさ5 mmほどの真っ赤なダニ。ルーペを持っていれば、自然観察はもっと楽しくなります。なお、このダニは人を刺さない種類だと思われますが、
吸血するマダニの仲間も生息しています。マダニは、時にはウイルス感染の原因になるので注意が必要です。
朽ちかけた立木の樹皮の下から現れた虫食いの跡。カミキリムシの仲間の幼虫の仕業でしょうか。これはもうアートの領域です。私はそう思います。
名号コースは、自然観察を楽しみつつ、程よく登頂の達成感も得られるおススメのコースです。ぜひ、自然観察を楽しむ三瓶登山にチャレンジしてみてください。
〇登山コースと所要時間
三瓶自然館サヒメル(8:45発) → 名号コース → 男三瓶山山頂(11:45着 12:45発) → 姫逃コース → 三瓶自然館サヒメル(14:45着)
【取材担当】
島根県立三瓶自然館サヒメル
学芸課 今井 悟
HP:https://www.nature-sanbe.jp/sahimel/
島根県大田市三瓶町多根1121-8
TEL0854-86-0500